香水のおすすめランキングを書いてみました。
「何か香水を買いたい」「自分の知らなかった香水を試してみたい」と言う方向けの記事です。
なるべく香水初心者から香水マニアまで、老若男女広くあまねくおすすめ出来るものをマニアの視点からおすすめ順でランキングとしました。日本の店頭で試したり、手に入りやすい作品のみに絞っています。
このランキングはあくまで私の恣意的なおすすめですので、これをきっかけに、香水ライトユーザーな方も超絶怒涛の香水マニアな方も、ご自身のランキングを考えてみて発表してみてくれると面白いかも知れません。と言うか知りたいです。
ちなみにこのランキングを作成するにあたって、色々な方の意見を参考にしております。ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。
- おすすめ香水ランキングの選定基準
- 1位 『アクア アレゴリア パンプルリューヌ(Aqua Allegoria Pamplelune)』
- 2位 『ユー オア サムワン ライク ユー(You Or Someone Like You)』
- 3位『ダーウィン(Darwin)』
- 4位『マシュー』
- 5位『アクアユニヴェルサリス(Aqua Universalis)』
- 6位『ミュール エ ムスク(Mure Et Musc)』
- 7位『スノー(Snow)』
- 8位『モレキュール04(Molecule 04)』
- 9位『ロー セルジュルタンス(L’Eau Serge Lutens)』
- 10位『ミルト ディ パナレア(Mirto di Panarea)』
- 追記:記事を読まれた方に他のおすすめを教えて頂きました
- 次点その1『ブルガリプールオム』
- 次点その2『CK-One』
- おすすめ香水ランキングの総括
- 付録:ランキング記事中に登場した全おすすめ香水リスト
おすすめ香水ランキングの選定基準
以下の大半、もしくは全てを満たすものを選定しています。
- ユニセックス(男女兼用)である事
- 日本である程度入手しやすい事
- 初心者でもとっつきやすい・万人受けしやすい事
- 上級者でも惹かれるポイントを有している事
- 歴史的な意味合いの強い作品である事
- 話題になった事がある
- 私が所持し使用している(いた)
では1位から紹介していきます。
1位 『アクア アレゴリア パンプルリューヌ(Aqua Allegoria Pamplelune)』
1位はゲラン(Guerlain)の香水『アクア アレゴリア パンプルリューヌ(Aqua Allegoria Pamplelune)』にしました。
価格は、75mlで8,900円。オードトワレ。
とにかく老若男女全ての方が使いやすく、私の周りでも愛用者が昔から多く、誰もが取っつきやすく、ついでにこの手の商品でお財布に優しい価格の香水と言えばこれです。
全国の百貨店のゲランのカウンターで試香も購入も出来ます。
香りはアロマ(精油)と香水の中間
『アクア アレゴリア パンプルリューヌ』はシトラス系の典型的な香調で、価格もそこまで高過ぎず、リッチなグレープフルーツとベルガモットがメインの香りです。
時間が経つにつれ、柔らかくプチグレインやネロリ、バニラなどが少しずつ香り出し、香りが立体的になります。シンプルでアロマティックでありながらブレンド精油よりリッチな中間をとった様な香調。書いてお腹空いてくるよね。笑
香水マニアとなった私も、今でも立ち返ってたまに使う作品です。
アクア アレゴリア(Aqua Allegoria)について
リッチ、ゴージャス、クラシックな路線で香水業界の筆頭であったゲランが突如1999年に新たなフレグランスラインを展開したのがアクアアレゴリアシリーズ。1~2種をメインとしたシンプルな構造のフレグランスのシリーズです。
アクアアレゴリアがスタートした1999年には他にグリーンハーバル調の『ハーバフレスカ(Herba Fresca)』や、マンダリンやフローラルの甘みとバジルの清涼感、苦みが楽しい『マンダリンバジリック(Mandarine Basilic)』もおすすめ。ハーバフレスカはラストに少々癖が感じられるのでランキングからは外しました。
ゲランと言えばレゾー(Les Eaux)シリーズもおすすめ
またゲランと言えばシトラスを基調とし100年以上前に作られたアロマティックなオーデコロンの「レゾー(Les Eaux)」と言うコレクションがあります。
こちらも全種類、万人におすすめです。店頭で扱っていないカウンターもあるので、ランキングには入れませんでした。取り寄せや通販は可能です。
2位 『ユー オア サムワン ライク ユー(You Or Someone Like You)』
2位はエタ リーブル ド オランジェ(Etat Libre d’Orange)の香水『ユー オア サムワン ライク ユー|あなたのような誰か(You Or Someone Like You)』。
これも癖が無く、でも少し個性的で、さわやかな、万人に強くおすすめできる一本です。
価格は50mlが13,500円、100mlが19,980円(税込)。7.5mlサンプルサイズで4,212円(税込)。
ここ数年、ニッチフレグランスメゾンの最右翼として挙げられるメゾンが「エタ リーブル ド オランジェ(Etat Libre d’Orange)」。
その代表格となる香水として人気かつおすすめなのがこの『ユー オア サムワン ライク ユー』です。
シンプルなハーブとグレープフルーツの香り
グレープフルーツを中心としたハーバルな香調です。と言って甘さがないグリーン調のためすっきりとしていて万人が使いやすいでしょう。更にこう言ったシトラスハーバルグリーン香は案外市場に多くは無いので人と被りづらいかと思われます。
買いやすい価格、入手しやすい販路、適度にひねっている、きちんと売れている、と言う点でランキングに挙げました。
エタ リーブル ド オランジェ(Etat Libre d’Orange)について
「ニッチフレグランスメゾン」なるものの特徴として、練り上げたストーリーを作品一本一本に付けている事が多いです。
これはルイヴィトン(Louis Vuitton)など有するLVMHなどのラグジュアリーブランドにおける戦略としても頻出のやり方。ELOも例に漏れずそのタイプで、各作品においてストーリーが付けられています。
調香を担当した調香師キャロライン サバス(Caroline Sabas)によると、
ユー オア サムワン ライク ユーはすべての人を迎え入れる香水。不快にさせたり、不気味なものではない。時代を超越した素材をベースにした、現代的なクリエーション。LAの女性ーAnne Rosenbaum(小説の登場人物)のような女性を描いている。クールで歯切れよく、かつて異国人だったが今は現地人であり、ハリウッドの銀幕のドリームをみて育ったが、その物質主義的な機械などに触れたことはない。Anneは文学に親しみ、LAのダウンタウンを見下ろす丘の中にある彼女の家の庭を愛でている。
https://noseshop.jp/?pid=131486595
この香水はそのフレッシュで癖のない魅力で感性を活性化させる。単純に、つけるのに心地よい香水。
との事。
香りそのものと併せてストーリーに陶酔する事で香りの楽しみがより増すと言う面白さがあるんですね。
余談ですが、エタ リーブル ド オランジェは40以上の作品があり、日本で手に入るものでも20本弱があります。↓こちらにて、どの香りがどう言う用途に向いているか分類してみましたのでご参考までに。
3位『ダーウィン(Darwin)』
3位はフエギア1833(FUEGUIA 1833)の香水『ダーウィン(Darwin)』。
価格は100mlで30,900円。
大人気のフエギアですが、私が見聞きした範囲では最も購入された数が多かったのがこれです。多くの方が取っつきやすいのは間違いないかと。価格は少々張ります。笑
※(価格表。個別ページ無しのため)
オーガニック、最高峰の天然香料、南米の植物から採れる香料でほとんど作られた…と言う事を前面に押し出したニッチフレグランスメゾンがフエギア1833。
『ダーウィン』はその中でも特に入門編の立ち位置を取ってます。実際その様な勧め方を店員さんもされるのだとか。
香りはシンプルなグレープフルーツ
香りは少し苦みのあるグレープフルーツと柔らかいシダーウッド、ほろっとしたベチバーのシンプルでアロマティックな香りが非常に使いやすいと感じました。
香りが飛びやすいはずのシトラス基調にも関わらず、香りの変化があまりなく、ロングラスティングで、5、6時間経ってもまだウッディな香りが残るのが面白い所。
個人的には他の香料があまり分からなかったのですが、店員さん曰く「もっと細かく沢山入ってます」との事。と言う事は、人によって香り方が微妙に異なったりしそうです。
4位『マシュー』
4位はペンハリガン(Penhaligon’s)の香水シリーズ「ポートレート」コレクションの1つである『マシュー』。正式名称は『無礼ないとこ、マシュー(The Impudent Cousin Matthew)』です。
価格は75mlで34,020円。
こちらは香りもとても万人受けするもので、また下記にある様に「新しい香水体験」を提供する作品のため、その意味で強くお勧めです。ただしボトルがしっかりしている分、お値段は中々です。
香りは使いやすいシトラスウッディ
香りは青みのあるマンダリンと少しウッディに思えるプチグレインの香りがほぼほぼメインで、そこからふわっとしたパチュリにゆっくり変わっていきます。
なお、この『マシュー』と同時に日本発売となったのが、同じくシトラス香がメインとなる『純真ないとこ、フローラ(The Ingenue Cousin Flora)』。こちらは少し強いシトラスの酸味が柔らかいアンブロキサンのメタリックな部分と溶け合う様に絡み、キラキラとした眩しさの様な雰囲気を感じさせます。
どちらもシンプルで非常に使いやすい香りですので、おすすめです。
で、おすすめした理由はもう一つあって、それがストーリーとボトル。
新しい香水体験を目指すペンハリガン
エタ リーブル ド オランジェの『ユー オア サムワン ライク ユー』紹介時にも書きましたが、フレグランスにストーリーを付けるケースが増えています。
ペンハリガンの「ポートレート」シリーズも同様のコンセプト。各香水作品を1人の架空の貴族に見立て、人格や連なるストーリーを与え、楽しませてくれます。ボトルはそれぞれのキャラクターを動物で表現。パッケージ(箱)デザインも、それぞれのキャラに設定されたストーリーを象徴する絵柄です。
更にポートレートシリーズはストーリーを「作品名」「ボトル」「パッケージ」の3つで補完するなど1歩先を進んでおり、その意味で長期的に見た時に「転換点」となりうる重要なコレクションの様に思えるのです。
その観点から、ポートレートシリーズはこのランキングに入れたいなと思い、中でも取っつきやすい『マシュー』(と『フローラ』)をおすすめしました。ただ、ボトル含めたお値段が少々張り、人の好み次第な側面もあるため、1位にはしておりません。
収納ボックスが凄いメゾン「バイキリアン」もついでに
少し話がそれますが、ペンハリガンのポートレートシリーズと同時期に登場したのはバイキリアン(By Kilian)の収納ボックスですが、こちらはもっと凄いです。笑
中二病の極致の様なストーリー(笑)に、笑顔のドクロ型収納ボックスの『ダークロード(Dark Lord)』や、高級ブランデーの収納ボックスを模した様な『ストレートトゥヘブン(Straight To Heaven)』、蛇が絡みつくクラッチバッグ型の『グッドガール ゴーン バッド(Good Girl Gone Bad)』など。香りも癖が強いのでランキングには入れませんでした。
もはや香りがメインではなく、香りをまとう香水ユーザーの香水体験そのものをデザインしにかかる勢いで面白いのでご興味ある方はチェックしてみてください。
日本ではキリアンは、新宿伊勢丹メンズ館、有楽町の阪急メンズ東京、東京の日本橋高島屋、日本橋三越で試香と購入が可能です。
ペンハリガンではクラシックな名香も万人におすすめ
ちなみに脱線ばかりで恐縮なのですが…
ペンハリガン(Penhaligon’s)に話を戻しますと、この様なポートレートシリーズ以外にも 元祖シトラス系の名香 『ブレナムブーケ(Blenheim Bouquet)』もおすすめです。
ブレナムブーケは1902年に発売され100年以上も売れ続け、国内外に「若い頃からこれ1本を愛用し続ける」中年の方など、固定ファンを数多く抱えています。
香りはレモン、パイン、ラベンダーと言ったシンプルでアロマティックなもので、色あせない安定した魅力があります。多くの百貨店で試せますのでぜひ。
5位『アクアユニヴェルサリス(Aqua Universalis)』
5位はフランシス クルジャン(Francis Kurkdjian)の香水『アクアユニヴェルサリス(Aqua Universalis)』。
価格は35mlで15,012円、70mlで24,300円、200mlで42,120円。
百貨店で香水を眺めた事がある方なら見かけた、もしくはお勧めされた事があるのではないでしょうか。私は2012年頃に購入した事がありますが、男女いずれからも「それどこの?」と聞かれる率が高かったのがこちら。好感度の高さはかなりのものだと思います。またクルジャン好きにとっての入門編として、最初に購入しているケースをよく聞きます。こちらもお値段は張ります。
これはスズランとベルガモットを主体としたシトラスフローラルの代表格の様な作品。前面に押し出したのは「清潔感」。
フローラルと言っても甘さやパウダリーさではなく、グリーンやシトラスに近いです。ラストはオレンジブロッサムとムスクの優しい甘さが心地よさを残して消えていきます。よく「洗い立てのリネン」と形容されますね。それゆえに老若男女に好まれやすい香りではないでしょうか。
「消えていく」と書いた通り、弱くもないですが、特段フローラルが強調されるでもなく、およそ「香水っぽさ」が無い上に香りの持続力とか拡散性には欠けますが、それゆえデートでもオフィスでも使いやすい汎用性の高さがある現代的な香りです。
スズランを使用した「清潔感のある香り」と言う系統で有名なもので、日本で入手しやすいのは、古くはクリスチャンディオール(Christian Dior)の『ディオリッシモ(Diorissimo)』やペンハリガンの『リリー オブ ザ バレー(Lily Of The Valley)』。
近年ではサンタ マリア ノヴェッラ(Santa Maria Novella)の『ムゲット(Mughetto)』、ルイヴィトンの『アポジェ(Apogee)』やラルチザン パフューム(L’Artisan Parfumeur)の『シャン ド フルール(Champ De Fleurs)』、日本では店頭での扱いがあまり多くないですが、バイレード(Byredo)の『インフロレセンス(Inflorescence)』などもおすすめ。
挙げればキリが無いほどの「スズラン系」ですが、やはり最も有名で長年女性男性問わず売れ続けて来た実績のある作品となると、クルジャンのこの『アクアユニヴェルサリス』は筆頭格と言えるでしょう。
アクアユニヴェルサリスは全国の多くの百貨店で試香・購入可能です。
6位『ミュール エ ムスク(Mure Et Musc)』
6位はラルチザン パフューム(L’Artisan Parfumeur)の香水『ミュール エ ムスク(Mure Et Musc)』。
価格は50mlで14,580円、100mlで18,360円。
ラルチザンの入門編とも言うべき万人に使いやすい逸品。私もかつて2007年かそこらにラルチザンを初めて知った時、数あるラインナップの中でまずこれを一番好きになり、これから入りました。
私の周りの伊勢丹の店員さんなどにも当時これを使っている人がいて、今ほど選択肢がなかった時代に密かに流行っていた記憶があります。お値段もこの手の商品では比較的手頃。シトラス系と比べるとやや汎用性は落ちるかもです。
1978年からのベストセラーです。ラルチザンを代表する一本。今でもラルチザンと言えばこれを挙げる人も多く、かつラルチザンが初めての方でも大体これから入る人も多く、つまり「顔」なんです。
昔は「黒イチゴのムスク」なるグルマンなサブタイトルがついていたんです。名前通りブラックベリーを中心とした香りで、バジルの青さ、オレンジやレモンの酸味をスムージーの様に混ぜ合わせた上にムスクの柔らかい甘さで覆った様な香りです。
ムスクが少し強めにある事でお子様向けのお菓子っぽさを排除しており、大人の使用に耐える可愛らしさ、カジュアルさなどを感じさせます。
ラルチザンのその他の代表作と言えばイチジクの実も葉も幹も丸ごとの『プルミエ フィグエ(Premier Figuier)』やかわいいフローラルな『シャッセ オ パピヨン(Chasse Aux Papillons)』もありますが、いずれも人によってやや好き嫌いが分かれるため、ランキングには挙げませんでした。
またこれは本記事の趣旨からは外れるのですが、2000年代ごろまでのラルチザンと言えばクリエイティブすぎる素材遣いの時代があって、それもまた面白いので、ラルチザンに興味ある方はぜひ。
例えば赤唐辛子そのまんまの『ピメント ブルラン(Piment Brulant)』や寺院の石畳そのまんまの『ゾンカ(Dzongkha)』など癖の強さは今のニッチフレグランスメゾンでも中々見られない域に到達していたんです。その辺りも好きな方はチェックしてみて欲しいです。
私はどちらも持ってたんですが、今でも私の自宅に『ゾンカ』の方はまだ残っていて、たまーに使用します。大好きです。
7位『スノー(Snow)』
7位はディメーター(Demeter)の香水『スノー(Snow)』。
価格は30mlで2,916円。
2000年にFifi賞を受賞した作品で、ニッチフレグランスの先駆け的な作品でもあります。 かなり大昔に使用していた記憶で恐縮ですが、良い香りかつ軽くて使いやすいのでお勧め。今の時代、賦香率の軽いコロンって中々減りましたので、基調な存在です。
いわゆるオゾン系でありながら、雪そのものの香りはあまりせず、アクアティックと言うよりもグリーンや土っぽさを感じる香り立ちです。とても軽く、シンプルで、それでいて被りにくく、更にこれを嫌いと言う人は中々いないかと思います。持続力は弱め。
あれですね、クリーン(Clean)の様な、ランドリー系の香りにカテゴライズしても良いかもです。クリーンの『ウォーム コットン(Warm Cotton)』辺りが系統としては比較的近いので、その辺りが好きな方ならヒットしそうです。
コロンですし「出先で付け直し」の用途としては使いやすいと思います。30mlなので鞄に忍ばせやすいサイズ。
ディメーターはその他作ぶりとカバー範囲の広さはフエギアの非ではなく、Fragranticaによれば全391作品がこれまでにリリースされたとの事。日本ではそのうち100種類が販売されています。
ディメーターには他にも老若男女にお勧めできる香水が大量にあります。
『スノー』以外におすすめのディメーターの香水
『スノー』の近縁種の石鹸系『ピュアソープ』、『スノー』をよりアクアティックに寄せた『レイン』、意外と多くはない紅茶そのままの『アールグレイティ』、穏やかなグルマンっぽい人肌系『クリーンスキン』、嵐が過ぎ去った後の湿った土や草木をパチュリやベチバーで表現した『サンダーストーム』、同じく土をパチュリなどで再現した『ダート』などなど。
他のコロンのブランドもおすすめ
またディメーターはオーデコロン(賦香率/濃度が低めの香水)のブランドで、かつレイヤリング(重ね付け)を推奨しています。
同じ「オーデコロン」ブランドで(金額的に)上位交換と言えるニッチフレグランスメゾンの「ジョーマローン(Jo Malone)」もありますね。ここも重ね付けを推奨しています。ジョーマローンでは『イングリッシュペアー&フリージア(English Pear & Freesia)』が最も有名かつとっつきやすいのでお勧め。
8位『モレキュール04(Molecule 04)』
8位はエセントリックモレキュールズ(Escentric Molecules)の香水『モレキュール04(Molecule 04)』。
価格は100mlで18,000円、30ml(リフィル)で8,000円。
こちらは少々変わり種ですが、案外「仕事場に付けていきやすい香水」なのでおすすめです。
ケミカル系の筆頭。ケミカル系と言うジャンルは明確には無く一部でそう呼んでいるだけなのですが、要は「オーガニック」とか「動物性香料や合成香料を排した」「植物由来の」「天然香料の」と言うトレンドに対抗して登場したカウンターです。
オーガニックをうたうブランドはおなかいっぱい、と言う人は面白いと思うでしょう。特徴は文字通り、科学的に抽出した合成香料感の強い香調です。
例えば合成香料の「ジャバノール」の濃度が高く、結果的にほとんど目立って香らないのが『モレキュール04』です。
実際は弱く薄い「シトラスの様なウッディの様な」イソイースーパーの芳香がわずかに感じられると言うもの。私にはシダーウッドやグレープフルーツをかなり薄めた香り「のみ」に感じます。私などはこう言った挑戦的なものを逆に面白いと思ってしまう口です。
おすすめの使い方はずばり「職場用」です。
屋外より、室内で誰かと近い距離にいる状況であっても使いやすい…と言うのが「ケミカル系」の特徴でもあります。香水らしさが無く、「香水かどうか判断がつかない」ものが多いので。もちろん少量付けが推奨です。
なおこの『モレキュール04』、在庫限りで販売終了が決定しています。
他のケミカル系ブランド
他のケミカル系の旗振り役としては「エーテル(Aether)」と言うニッチメゾンもおすすめ。
中でも『エーテル オキサイド(Ether Oxide)』はほとんどエチルアセテート、アンブロキサン、イソイースーパーがメインとなり「香りがとても薄い」のです。ベースノートとして、その上から別の香りを重ねるなどの使い方をするのも面白いです。
また同ブランドの『ハイパー(Hypaer)』『ウルトラ(Ultrae)』『エクストリーム(Xtraem)』も同様です。この点かなり『モレキュール04』と似ており、「何かほのかにムスクの様な良い香りがするけど、香水っぽくないし、何だろう?」と思わせる様な香調です。中々の職場向け。
9位『ロー セルジュルタンス(L’Eau Serge Lutens)』
9位はセルジュルタンス(Serge Lutens)の香水『ロー セルジュルタンス(L’Eau Serge Lutens)』。
価格は50mlで8,900円、100mlで13,000円。
セルジュルタンスの香りで万人に使い勝手が良いものって珍しいのですが、昔から唯一これだけはとても使いやすく、かつこれだけは好きって人を多く見かけた一本です。笑
『ロー セルジュルタンス(L’Eau Serge Lutens)』も中々取っつきやすく、ミントやセージのハーバルなトップからシトラスウッディになり、マグノリアのほのかな甘みがある以外は香り立ちもあまり強くないです。ですが少しメタリックで薬品っぽいアルデヒド香が混じる事で少し変わった良い意味での違和感があり、「少しだけ差別化をしたい」方には試す価値はあります。
またセルジュルタンスには80を超える香水作品があり、日本でもその半分以上を購入可能です。まあこれが骨太な作品が多く、迷うんですよね。作品点数が増えた事もあり近年価格帯別に5つのカテゴリーに分類されました。『ロー セルジュルタンス(L’Eau Serge Lutens)』の価格はセルジュルタンスの香水作品の中では最安の部類ですので、入門編としても最適です。
セルジュルタンスは日本だと百貨店などの正規代理店がいくつかあり、また銀座に直営店もあり、そう言ったお店で試香出来ます。
10位『ミルト ディ パナレア(Mirto di Panarea)』
10位はアクア ディ パルマ(Acqua di Parma)の香水『ミルト ディ パナレア(Mirto di Panarea)』。
価格は75mlで14,040円、150mlで21,600円。
アクアディパルマは百貨店でもお馴染み、香りもシトラスが中心となり使いやすく、価格も高すぎず、それゆえ被る事もあるのですが、それでもやはり柑橘類が大好きな日本人に長年売れ続けている実績があり、多くの人にお勧めできる一品です。
『ミルト ディ パナレア(Mirto di Panarea)』はシトラスウッディにフローラルを加えてあり、レモンやベルガモットの若々しさとシダーウッドやアンバーの落ち着き、少しのローズの甘さなどが非常に心地よい香りになっています。
一方で「マートル(Myrtle)」と言う地中海独特の花がメインに据えられているのですが、その甘みのあるハーバル香がその他のシトラス系の香水と微妙な差別化が出来ており、そう言った意味でランキングに加えました。
アクア ディ パルマはイタリア発の老舗ニッチフレグランスメゾンであり、日本全国の百貨店で試すことが出来ます。
中でもシトラス系香料を基調としたアロマティックなラインである「ブルー メディテラネオ(Blu Mediterraneo)」コレクションはどの香水も老若男女にお勧めで、使う人もシーンも選びません。またシトラス系の激戦区である日本でも長年売れ続けており、多くの人にとって好感度の高い香りである事を市場が証明しています。
なおブルー メディテラネオコレクションでは他にもおすすめが多いのでご紹介しておきます。
グリーンとシトラスを詰め込んだ『アランチャ ディ カプリ(Arancia di Capri)』、ベルガモットとジンジャーの清涼感が効いた『ベルガモット カラブリア(Bergamotto di Calabria)』、ハーバルなシトラスの『キノット ディ リグリア(Chinotto di Liguria)』、スパイシーウッディへの変化が心地よい『チプレッソ ディ トスカーナ(Cipresso di Toscana)』など。
追記:記事を読まれた方に他のおすすめを教えて頂きました
Twitterにて、ディプティック(Diptyque)の香水『オイエド(Oyedo)』と、ロジェガレ(Roger&Gallet)の香水『オスマンティウス(Fleur d’Osmanthus)』の2つをご推奨頂きました!
夏に使っても鬱陶しくなさそうなものばかりですね〜
オイエドとかオスマンティウスとかもいいかもしれませんね!— 有出ハイド (@aldehydechang) 2019年8月22日
『オイエド』はユズやベルガモットなどのシトラス以外が分からない程に柑橘づくしで非常に使いやすく、ついでに香りの持続力もシトラスにしては長く感じます。こちらも本記事の趣旨にもあってますし、おすすめです!
『オスマンティウス』はとても軽やかなキンモクセイの甘さとシトラスが融合した使い勝手の良い逸品です。市場のキンモクセイ系の香水はパウダリーなものもあれば甘さを強めた様なものもありますが、この『オスマンティウス』は澄んだクリアな甘さなので万人が使いやすいですね。
次点その1『ブルガリプールオム』
ここからは、あまりの有名さにおすすめランキングには入れなかったけど、でもやはり外すことが難しかったものを2つ挙げてみます。
次点1つ目はブルガリ(Bvlgari)の香水『ブルガリプールオム(Bvlgari Pour Homme)』。
公式価格は50mlで9,180円、100mlで12,636円。薬局やディスカウントストアなどで実際はもっと安く買えますが、偽物にご注意下さい。
元祖お茶系の香水で、「香水と言えば」と聞かれれば日本人の多くがこれを思い出すのではないでしょうか。世界トップ調香師ジャックキャバリエ(Jacques Cavallier)の作品です。
彼と言えばイッセイミヤケの『ロードイッセイ(L’eau d’Issey)』で世界で初めて「水の香り」を作り、しかもヒットさせた手腕があるなど、香水界の金字塔メーカーです。
香水マニアほどこう言った売れ筋は好みませんが、とは言えやはり良いものは良いなぁと思う次第です。なのでランキングの次点に加えました。
香りはベルガモットから始まり、茶葉とムスク、時々シダーウッドと言った心地よい香りです。それ以外が分からないぐらいの比率になっており、やはりシンプルで使いやすい事この上無いです。何つけるかTPOで迷ったらこれですね。
これ一つで年間何本売れているか分かりませんが、かつては年間1,000万本売れた年もあったと耳にした事があります。仮にそれが本当なら数百億円に達する訳で、ちょっとしたコスメ1カテゴリぐらいなら丸々飲み込める市場規模ですね。フレグランス市場に間違いなく最大級の貢献をした作品です。
こう言った売れ筋商品があるから香料会社やメゾンが設備投資やリスクを取りに行けるわけで、結果、香水業界が発展する…と言う好スパイラルが生まれるのです。
次点その2『CK-One』
カルバンクライン(Calvin Klein)の香水『CK-One』。
公式価格は50mlで6,372円、100mlで8,532円、200mlで11,340円です。『ブルガリプールオム』と同様に色んな所でもっと安く買えます。
これもブルガリプールオムと同様に日本では多くの人が通った道だと思います。
説明するまでも無いかも知れませんが、ベルガモット、レモン、グリーン、パイナップルが香るシトラスフルーティな香調です。
スズランやバイオレットなどのフローラルが後半で顔を出しつつもトップのシトラスがまだ残っている…そんな、少々あからさまな合成香料感もあり、更にはアクアティックでケミカルでアルデヒドな側面もありの、多様性に溢れた香調です。
私もそうですし、恐らく多くの方の香水の原風景とも言える香りであり、潜在意識に染みついた香りでしょう。私は今でもたまに使用し、良さを再確認しているフレグランスです。
ちなみに『CK-One』登場の背景は、マーケティングにより似た様な香りが増え始めた90年代のトレンドに対するアンチテーゼとして「何にも分類されない香り」と言うものを若年層の男女をターゲットに発売された、歴史を創った一本なのです。
この頃を境に世界各地で同じコンセプトでニッチフレグランスメゾンが少しずつ興って行った事を考えても歴史的意義の大きい作品です。『CK One』がその起点として生まれ、トレンドに左右されない色あせない香調である事を考えると次点としてでもランキングに入れざるを得ませんでした。
おすすめ香水ランキングの総括
ランキングは以上です。ご清聴ありがとうございました。笑
ランキング作成にあたって非常に迷いました。ランキングを作る作業と言うよりは、膨れ上がった古今東西の名香リストからあれもこれもと引き算をひたすらしていく作業でした。
例えば自分の好きな男性向け香水の中でもフゼアやシプレー系はランキングの性質(ユニセックスである事など)を考えれば泣く泣くオール除外としましたし、その他歴史的な名香もほぼ外しました。
シャネル(CHANEL)の『N°5』、クリスチャンディオール(Christian Dior)の『ジャドール(J’adore)』や『プアゾン(Poison)』、ジャンパトゥ(Jean Patou)の『ジョイ(JOY)』、ニナリッチ(Nina Ricci)の『レールデュタン(L’Air du Temps)』…などなど。
またメゾンにもニッチフレグランスメゾンの雄としてフレデリックマル(Frederic Malle)、トムフォード(Tom Ford)などなど多数がありますが、いずれにおいても「マニアも初心者も両方歓迎」とはいかず、初心者やライトユーザーに対してはある種の排他性があるため(個人の感想)、これらも泣く泣くランキングから外しました。
また、世界中の名香や名ブランドも数えきれない程ありますが、日本で入手しづらいものもこのランキングでは外しました。別のランキングでは入れる事もあると思います。
付録:ランキング記事中に登場した全おすすめ香水リスト
公式/正規代理店販売ページがあるものはリンクしています。
ゲラン
- 1位『アクア アレゴリア パンプルリューヌ』
- 『ハーバフレスカ』
- 『マンダリンバジリック』
- 「レゾー」コレクション各種
エタ リーブル ド オランジェ
フエギア1833
- 3位『ダーウィン』(個別ページが存在しないので価格表)
ペンハリガン
- 4位『マシュー』
- 『ブレナムブーケ』
- 『リリー オブ ザ バレー』
バイキリアン
- 『ダークロード』
- 『ストレートトゥヘブン』
- 『グッドガール ゴーン バッド』
フランシス クルジャン
- 5位『アクアユニヴェルサリス』
クリスチャンディオール
- 『ディオリッシモ』
サンタ マリア ノヴェッラ
- 『ムゲット』
ルイヴィトン
- 『アポジェ』
バイレード
- 『インフロレセンス』
ラルチザン パフューム
- 6位『ミュール エ ムスク』。
- 『シャン ド フルール』
- 『プルミエ フィグエ』
- 『シャッセ オ パピヨン』
- 『ピメント ブルラン』
- 『ゾンカ』
ディメーター
クリーン
ジョーマローン
エセントリックモレキュールズ
- 8位『モレキュール04』
エーテル
- 『エーテル オキサイド』
- 『ハイパー』
- 『ウルトラ』
- 『エクストリーム』
セルジュルタンス
- 9位『ロー セルジュルタンス』
アクアディパルマ
- 10位『ミルト ディ パナレア』
- 『アランチャ ディ カプリ』
- 『ベルガモット カラブリア』
- 『キノット ディ リグリア』
- 『チプレッソ ディ トスカーナ』
ディプティック
- 『オイエド』
ロジェガレ
- 『オスマンティウス』
ブルガリ
- 次点その1『ブルガリプールオム』
カルバンクライン
- 次点その2『CK-One』
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